京都SFフェスティバル2003 ヴァーチャル読書会

2003-10-25

[Book]「カレーの歌」感想リンク


   京フェスヴァーチャル読書会はそれなりの好評を受けつつ終了しました。 御参加いただき、大変ありがとうございました。 最終更新日2003/11/9

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カレーの歌
著者:
マリー・ネフェカルテ著
的山鷸子訳
本体価格: \2,600
出版:コアマガジン
サイズ:四六判 / 342p
ISBN:4-877CU-RRY-X
発行年月:2003.10
利用対象: 一般
書影はTINAMIの今日の一枚2001年11月16日「カレーの歌」にあるものを使用しました。
この絵を書いた nig さんの ページはこちら→http://cwaweb.bai.ne.jp/~kishida/です。
■内容説明
日常と重なる異郷の光景をスパイスの効いた筆致で描き出す異才ネフェカルテの 無国籍アジアンマジックリアリズム短編集。表題作「カレーの歌」他「閻魔庁」、「象虎さんと縁日」「パナウル金環蝕」「ドーナッツ少姐。」 等全八編を収録。

■著者紹介
〈ネフェカルテ〉1966年インド生まれ。 フランス系貿易商の父とインド人の母とともに、幼い頃からアジア各地を転々とする。 97年本書でデビュー。 語学が堪能でヒンディーの他、英語とフランス語を話す。

■著者・出版社コメント  
ネフェカルテの すごい 世界(編集部コメント)
2003/10/24


「軌道通信」高田ハハ

ああ、この物語を、いったいどう説明したらいいのだろう。ストーリーだけ話したら、「なにそれ?」 と言われそうな、実に空想的で荒唐無稽な物語。昔、子供の頃読んだ童話のよう。 ストーリーはなんだかあまりにも突飛というかよくわからない話なのだけれど、そのイメージだけは強烈に残るような、そんな物語。 これは、「レトルト」とあだ名される少年の物語。彼の波乱万丈の劇的な人生がつづられている。 手法は童話的、寓話的。著者は、料理をリアルに描くのではなく、まるでおとぎ話のように描くのだ。 写実的とは正反対の方向から。そう、彼女は感性という名のおたまで物語をかき混ぜるのだ。それも、みずみずしい子供のような感性で。 少年がぶちあたる、これでもかというほど多くの人生の悲喜劇。でたらめで、むちゃくちゃで。しかし、どんなこともみな一緒なのだ。いいも悪いもない。 人生を「カレー」というものに託して語った、とても壮大な、感動的な物語。

「蜜柑・干し柿・鰹節」ツヅキトモヨ

これはすばらしいです。インドの山尾悠子か中国の乙一か南太平洋の川上弘美か。表題作のイメージから「ムトゥ踊るマハラジャ」(→感想) のようなノリの 大衆娯楽作品を予想していたのですが、そんな作品がコアマガジンから翻訳されるはずもない(w。 ダークファンタジーあり、ハードボイルドあり、ノワールあり、ラブロマンスあり、無国籍アジアンチャンプルーとでもいうべき一冊になっています。 あ、カレーか。スランプに悩む力士の名前が象虎山、親方の坊ちゃん嬢ちゃんがカシオとスダチというあたりに外人が想像する実際にはあり得ない ジャパネスク風味を感じ取る人もいるかもしれませんが、角界の上下関係描写は完璧だったりするのでネフェカルテ嬢が狙ってやってるのか、 判断に迷うところであります。

「蒼弐齋藤」斉藤紅葉

  うっわくっだらねぇ。 マリー・ネフェカルテ『カレーの歌』。 クソだクソ。   ゴミ。 ゴミとしかいいようがない街角の喧噪。鍋。ドーナッツ。サラリーマン閻魔。物狂いの妄想でしかねえ。   しかたがねえ、つまり最高


「U-kaの すごい メモ帳」ことぶきゆうか

おかしいですよ!マリーさん!×66。わたしも (略) ていうか、ゆうか感激!

「酸欠日記」夏井蛙

ネフェカルテというけったいな名前の作家の、ひときわ奇妙でけったいなものが収められた短篇集ケロ。 あんまり奇妙でネフェカル的なので、カレー中毒やドーナッツ中毒にならぬよう注意されたい。(略)単なる“料理少年の「スタンド・バイ・ミー」”に終わっちゃわない苦いものは、もちろんあるケロ。ネフェカルテの発想は、右に踏み出したら左に重心を移し、ジャンプしたあとは池に潜らずには気がすまぬといったところがあるケルルンクック。ある“ものの見かた”を提示したら、必ずその対極を想像してみずにはおられないのだケロ。なんでもかんでも、とにかく一度は相対化してみないと不安なのである。ふつう、自分の立脚点を相対化されると不安なのだが、立脚点が主観によって絶対化されてしまうことを不安に感じる感性というものがあるゲコ。

「mercy snow official homepage -(殊能将之)」(10月下旬)

 読んでいるうちに感動のあまり涙が出てきたのにはまいった。冗談ではなく、マジだからこわい。 わたし、頭がおかしいんじゃないかな。これはたぶん、わたしが変で少数派なんだろうから割り引いて聞いてほしいけれど、 本作を「怪作」「バカカレー小説」と呼ぶ人の気が知れない。「アジア諸国への誤解ぶりを笑う」という見方にも賛同できない(ネフェカルテは誤解も勘違いもしていない)。とにかく、わたしは「これこそが鍋、鍋のなかの鍋なのよ」というキャラに代弁されているネフェカルテの言葉を全面的に支持します。


「ブレイクアウツ!DaDaDa!ホルマリン侍 ぷに林田(ぷに林田)」(10/25)

 「ドーナッツ少姐。」タイトルからじゃ全然分からんと思いますが、 牧歌的で微妙にラブリーな短編です。 全体にミョーな感じを漂わせながらもきっちり青春していて面白いですね。ドーナッツ食べたい

「しまりがなくていろいろだ(須貝ゆん)」(10/27)

……閻魔庁(Yama Agency)雇われ閻魔の苦労を描いた小品。テーマの扱い方も上手く、面白くはあった。ただ、粗筋等々から期待した面白さまではなかったかも。個人的にはこの結末は納得いかないという印象が強いのだが、それならどうなら良かったのかという対案はない、という感じ


「管の日々綿の日々(林雪火)」

諸事情により、マリー・ネフェカルテ『カレーの歌』(コアマガジン)を読む。しまった。好きだ、これ。無国籍風ごった煮の異郷を描く連作短編もの。ちゃんと大きな物語がある以上、たかだか話がとっ散らかっていることくらい何ほどの瑕だろうか。明るい希望に水をさす落ちまで含め、大いに気に入ってしまった。夕方から馬場にでて




「吠えてなんぼ」

 20時頃退社。部署の上司たる人らとカフェーへ。帰りは見事に寝過ごしてしまった。 23時過ぎ帰宅。明日は泊まりで京都に行く予定なのでさっさと寝よう。 「カレーの歌」を半分ぐらいまで読んだのだが、ジュブナイルでノワールな小説というくくりで読むといささか俺のスタイルではないけど、 どうしても表面的にそういう風に入ってくるので微妙。 中身はちゃんと主観・客観・感応うんぬんで攻めてるので割と面白いんだけど。でもまぁ閻魔庁とか、かなり荒唐無稽な話ではあるなぁ。